加算税について
加算税の概要
具体例(架空仕入れを計上し、役員が私的使用した場合)
【事例】
A社は当期(×1年度)業績が好調で多額の営業利益が生じる見込み。
A社の代表取締役aは、多額の納税を恐れ、架空仕入れを計上(税込550万円)し、当該金額(550万円)を私的使用した。
×2年度中に行われた税務調査で×1年度の架空仕入れが発覚し、架空仕入れ代金は代表取締役aに対する役員給与との指摘を受けた。
(仮定事項)税込経理、法人税率23.2%、代表取締役aの所得税率33%
上記の場合に、法人税法、消費税法、所得税法において下記のように取り扱われる。
【会社に課されるもの】
①法人税法→私的流用のため役員給与となるが仮装経理のため損金不算入となる。
追加の法人税額:550万円×23.2%=127.6万円
②消費税法→役員給与は非課税取引のため、架空仕入計上額550万円の課税仕入が否認される。
追加の消費税額:550万円÷1.1×0.1=50万円
【個人に課されるもの】
③所得税法→代表取締役aの私的流用額が役員給与とみなされ所得税が課税される。
追加の所得税額:550万円×33%=181.5万円
また、架空仕入れのため、重加算税が課税される(35%)。
法人税の重加算税:127.6万円×35%=44.6万円
消費税の重加算税:50万円×35%=17.5万円
所得税の重加算税:181.5万円×35%=63.5万円
従って、A社は法人税、消費税及び重加算税(239.7万円)、代表取締役aは所得税及び重加算税(245万円)を課されることとなる。
架空仕入れを計上しその金額を役員が私的に利用した場合、法人税法上は役員給与が否認される結果、法人税と所得税が二重に課税されるのみならず重加算税も課されることになるため税負担が高額となる。
適正な経理処理を行っていない場合、取引先に対する信用低下のリスクがあること及び従業員の士気低下リスクなど、事業遂行上大きなリスクが生じる可能性が生じることも考えられる。
具体例(売上原価の過大計上(事務ミス))
上記事例について仮に売上原価の過大計上(事務ミス)によるものであり、過少申告加算税とされた場合。
【会社に課される】
①法人税法→550万円の費用の取消。
追加の法人税額:550万円×23.2%=127.6万円
②消費税法→550万円が当期仕入分の場合は、消費税額に影響なし。
また、事務ミスのため過少申告加算税が課税される(10%)。
過少申告加算税=127.6万円×10%=12.7万円
具体例(550万円を従業員に対する追加ボーナスとして支払った場合)
①法人税法→従業員賞与として支払済であれば損金算入される。
②消費税法→従業員賞与は非課税取引のため、課税仕入とはならない。
③所得税法→追加ボーナス分に対して各従業員の所得税が増加する。
追加ボーナス支払により所得拡大推進税制が適用できれば法人税の税額控除ができる可能性がある。